大阪市北区天神橋( 南森町・扇町・天満 )の心療内科・精神科・メンタルクリニック「かわぐちクリニック」
うつ病とは、心的なエネルギーが低下し、気分の落ち込み、意欲が出ない、根気がない、感情に起伏がない、眠れない、不安感、焦燥感、食欲不振などの症状が2週間以上毎日続き、生活に支障をきたしている状態をいいます。
うつ病の発症メカニズムはまだはっきりとは解明されていませんが、これまでの研究から脳内のドーパミン、ノルアドレナリン、セロトニンなどの神経伝達物質のバランスが崩れることが原因の一つだと考えられています。つまり、心身のストレスが続くと感情や意欲にかかわる神経伝達物質が十分働かなくなり、うつ状態に陥ってしまいます。
以前は、まじめで几帳面、責任感が強い、完璧主義といった性格がうつ病を発症しやすいとされていました。しかし、ストレスの多い現代社会では、そのような性格傾向はほとんど見られなくなっており、誰もがかかる病気と考えられています。
現在の日本はストレス社会と言われており、多くのストレスがうつ病のきっかけになり得ます。発病のきっかけは人により様々で、育児、介護、家庭や夫婦の問題、学校や職場のストレス(人間関係、過労、異動)、近親者の病気や死などがあります。
うつ病は怠け病などではなく、脳内の神経伝達物質のバランスが崩れて発病する「脳の病気」と考えられています。ストレスを軽減し脳を休ませてあげることが大切です。
休養やストレスの軽減と合わせて、抗うつ薬も治療の大きな柱となります。うつ病は脳という臓器の病気であり、そういう意味では身体疾患の一部と言えますので体の病気と同様に薬物療法が有効です。
抗うつ薬には、SSRI、SNRI、NaSSA、三環系、四環系など様々なタイプがあります。これらの薬は、うつ病患者さんの脳内の神経伝達物質のバランスを取り戻すことにより、うつの症状を改善する働きがあります。どの抗うつ薬も効果が出るまでに2~4週間かかります。焦らず時間をかけて治療していくというスタンスが良いでしょう。また病状に応じて抗不安薬(不安緊張をやわらげる薬)や睡眠薬が併用されることもあります。それぞれの薬の役割について担当医に説明を受け、患者さん自身がよく理解した上で服用することが大切です。
うつ病では認知療法が効果的であることが様々な研究から証明されています。認知とは、物事の受け止め方や考え方のことをいいます。人は通常、物事を多面的に考えて判断をしています。しかし、うつ病では多面的に考えることがうまくできず、物事を後ろ向きに考えたり悲観的に考えてしまいます。この“認知の歪み”がさらに気分の落ち込みや不安感を強めます。認知療法は、この歪んだ認知に働きかけて、物事を再び多面的に考えられるようにすることを目的とした心理療法の一つです。
休養することが治療上大切ですので、患者さんがゆっくり休める環境を整えてあげることが必要です。療養中は、患者さんは不安を抱えやすく、病状も良かったり悪かったりしますが、患者さんの不安に巻き込まれず、病状に一喜一憂せず、寄り添う姿勢が大切です。また過剰な励ましは、頑張ろうと思っても頑張れない患者さんへの負担になりますので控えましょう。
なお、患者さんを支える立場の方に、周りの方が色んなアドバイスをする場合があります。ただし、うつ病について正しく理解されているとは限らないこともありますので疑問があれば、専門医に相談してください。