大阪市北区天神橋( 南森町・扇町・天満 )の心療内科・精神科・メンタルクリニック「かわぐちクリニック」
人は年齢を重ねていくと、「物をどこに置いたか思い出せない」、「人の名前が思い出せない」などのもの忘れが出てきます。認知症はそういった年齢によるもの忘れとは違い、脳の疾患により正常であった脳の働きが低下し、記憶障害が生じて生活に支障が出てきます。
認知症には、アルツハイマー型認知症、脳血管性認知症、レビー小体型認知症、前頭・側頭型認知症などがあり、症状や程度は個人差があるため、その人にあったケアが必要になります。
物忘れ(記憶障害)を中心とした中核症状と、周辺症状と呼ばれる精神症状や行動障害があります。
周辺症状にはさまざまな精神症状や行動障害があります。その症状の出方や程度には個人差があります。
認知症の中で最も多くみられます。脳内にβアミロイドというタンパク質がたまることにより、脳が萎縮し脳機能が低下すると考えられています。アルツハイマー型認知症では特に脳の側頭葉や後頭葉に萎縮がみられます。側頭葉には海馬という記憶をつかさどる部位があり、その部分が障害を受けるため記憶障害が生じます。
治療は、病状の進行を抑える薬としてアリセプト、レミニール、メマリーが使用されます。薬を飲むことが難しい場合はイクセロン、リバスタッチといった貼り薬を使用することもあります。周辺症状に対して抑肝散などの漢方薬を使用することもあります。
脳梗塞や脳出血を起こした後に発症する認知症です。脳内の受傷部位によって症状が異なります。記憶障害のほかに、判断力の低下、理解力の低下、言語障害、感情失禁、意欲低下、麻痺などがみられます。脳血管認知症の特徴の一つとして、「記憶力の低下に比べて理解力などはある程度保たれている」など、症状がまだらなことがあります。
治療では、脳の血流を増加させる働きのある脳循環改善薬が使用されます。また脳梗塞や脳出血の再発予防も重要です。高血圧や糖尿病などが再発の危険因子となるため、それらをコントロールしていくことも大切です。
もの忘れの症状に加えて、幻視(小動物や子どもが見える)とパーキンソン症状(手足の筋肉の硬直やふるえ、動作緩慢、歩行障害など)がみられます。日や時間帯によって頭がはっきりしている時とボーっとしている時があることも特徴です。治療にはアルツハイマー病治療薬が有効な場合があります。
脳の前頭葉や側頭葉に萎縮がみられるタイプの認知症です。病初期には記憶障害は目立たず、性格変化と対人交流の障害がみられます。進行とともに徘徊や落ち着きのなさが顕著となり、抗精神病薬を対処療法的に使用することがあります。
認知症では、薬物療法とともにデイサービスなどのリハビリテーションにより脳機能を維持することが治療の目標となります。デイサービスでは回想法や音楽療法などさまざまなプログラムがあります。このようなプログラムにグループで参加することにより脳を刺激し、認知症の進行を弱めることができます。また日常生活面において身の回りのことができなくなると、訪問看護や訪問ヘルパー、訪問診療を利用することもできます。認知症の進行により自宅での生活が困難となると介護施設へのショートステイや入所が必要になることもあります。このように認知症では症状や生活面での困難度に応じた介護サービスを受けることができます。