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大人の発達障害(自閉症スペクトラム)

発達障害はもともと子どもの疾患です。マイペースで友達作りやコミュニケーションが苦手なことが特性です。特性が強い場合は、子どもの頃に発達障害であることに気付かれます。しかし特性の程度には個人差があり、軽度であれば気付かれないまま思春期、青年期を過ごすこととなります。その過程で対人関係のつまずき等があると、「自分はどこか人と違う」という違和感や「生きづらさ」を抱えてしまい、うつ病や対人恐怖症、不安症などを発症することがあります。このように発達特性が原因で生じる精神疾患を「二次障害」といいます。成人の場合、二次障害をきっかけに発達障害とわかるケースが多くあります。

発達障害の方は、その言動から「身勝手」「変わった人」などと誤解されることがありますが優れた能力をもっている人も多く、そのアンバランス(凸凹)によって周囲から理解されにくいのです。発達障害であっても専門職などで社会的に大きな成功を収めている人が数多くいます。また歴史上の人物で発達障害と考えられている偉人もいます。

発達障害は、これまでアスペルガー症候群、広汎性発達障害、高機能自閉症などと呼ばれていましたが、現在ではこれらをまとめて「自閉症スペクトラム」と呼ばれます。

発達障害(自閉症スペクトラム)の特性について

① 社会性の障害

同世代の人と相互的に交流することが苦手です。子どもでは人よりも物への興味・関心が強いことで現れます。成人では親しみを持ちながら他者と対等な関係を作ることが苦手なことが特徴です。関わり方のタイプにより積極奇異タイプ、受け身タイプ、孤立タイプに分けられます。中には、これまでの経験と学習によって対人交流の苦手さをカバーし、特性が一見目立たない人もいます。

② 社会的コミュニケーションの障害

コミュニケーションは、「理解」(相手の話や表情、仕草を理解すること)と「表現」(自分の思いを伝えること)から成ります。社会的なコミュニケーションはこうした理解と表現の両方をスムーズに行なう ことで成立しますが、発達障害ではこれらに偏りがあるために他者との意志疎通に困難を生じます。ただ、中には語彙が豊富で研ぎ澄まされた言語センスによって、詩的な表現ができる芸術家タイプの方もいます。


「理解」の特性(偏り)

  • ・相手の言葉を字義通りに受け取り、冗談や比喩がわからないことがある
  • ・言葉の裏を読むことが苦手で相手の気持ちをくみ取ることが不得手
  • ・相手の話の中で自分の気になった言葉だけに着目してしまい、話の流れをつかめなかったり、相手の意図を読みとれないことがある
  • ・相手の表情や口調、仕草から相手の気持ちをくみ取ることが苦手

「表現」の特性(偏り)

  • ・自分の言いたいことを一方的に話してしまう
  • ・要点を押さえて話すことが苦手で、言いたいことが伝わりにくい
  • ・主語が抜けたり、言葉数が足りなくて話が伝わりにくい
  • ・一見流暢に話していても話のポイントがずれている

③ 社会的イマジネーション(想像力)の障害

次に起こることを想像することが難しく、見通しをつけることや変化に対応することが苦手です。「同じ行動パターンを繰り返す」、「自分のやり方や手順に固執する」、「特定のものに執着する」などの“こだわり症状”には、イマジネーションの障害が背景にあります。想定外のことに混乱したり、新奇場面が苦手なこともイマジネーションの障害によるものです。

ただ、こだわりの強さを生かして様々な分野で名人や達人と呼ばれる方も数多くいます。

④ 感覚過敏(あるいは鈍感)

聴覚、視覚、味覚、触覚、臭覚が過敏であったり、逆に鈍感であったりします。聴覚過敏では、特定の音や声が苦手になることがあります。触覚過敏では、人に触れられることや特定の素材の衣類が苦手になることがあります。

⑤ 発達障害の認知特性

Ⅰ 中枢性統合の弱さ

中枢性統合とは、全体の状況を見て理解する能力のことです。この能力が弱いと物事を全体として見ることが苦手で、細部に注目しやすくなります。

Ⅱ 実行機能の弱さ

優先順位をつけて行動することや計画を立て行動すること(プランニング)、注意集中力のコントロールが苦手で、日常生活で多くの困難がみられます。

Ⅲ 視覚認知>聴覚認知

発達障害では多くの場合、耳で聞いたことを覚えたり考えることよりも、目で見たものを覚えたり考えることが得意です。社会生活の中で様々なものを視覚化することが生活の向上につながります。

診断

成人の発達障害(自閉症スペクトラム)の診断には幼少期・学童期の情報が重要です。養育者からの情報や母子手帳、通知表などが役立ちます。また周りの人の声も参考になります。職場の方や配偶者などからの情報があれば診断に有用です。

まず問診にて、現在の状況の確認、幼少期・学童期の状況の確認を行ないます。心理検査(発達特性検査)や血液検査なども評価し、総合的に臨床診断を行ないます。

成人の発達障害は、統合失調症、社交不安障害、強迫性障害、境界性パーソナリティ障害などと部分的に症状が似ているため、すぐに診断がつかないケースもあります。専門医による診断を受けることをお勧めします。

原因

遺伝的要因が関係する先天性の脳機能障害であると考えられていますが、まだ詳しい原因はわかっていません。

診療

ご本人の特性や状態に応じた診療となります。発達障害は生まれ持った特性ですので、生きづらさを減らすための環境調整や生活の工夫を考えていくことが診療の中心となります。コミュニケーションスキルが低い方や時間管理(プランニング)が苦手な方には、ソーシャルスキルトレーニング(SST)も有用です。うつ病や不安症などの二次障害がある場合は、抗うつ薬や気分安定薬などの薬物療法が用いられることもあります。